シーボルトからビル・ゲイツまで

「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」をご存知でしょうか。

北極点から1,300㎞南ノルウェー領スピッツベルゲン島。

そこには植物の全滅に備え世界100か国以上から集めた10,000種を超える種子の標本が保存されています。

ビル・ゲイツ氏が中心となり建設された設備は地下より海抜130mの岩盤で、内部は120mの地点に設けられ、貯蔵庫は常に摂氏マイナス20度に保たれています。

万一の場合でも永久凍土層に守られるためマイナス4度を維持できるようになっています。「地球最後の日のために」方舟は作られたのです。

歴史上数多くの学者や研究者によって広められてきた植物たち。

シーボルトはドイツ出身の医学者・博物学者ですが動植物学に造詣が深いことでも有名です。

シーボルトは長崎で植物園を造り栽培研究を行っていたのには実は植民地経営で世界に張り巡らされた植物組織ネットワークの一員であることが背景にあったようです。

しかし日本における植物の復興に大きな影響を与え貢献したことは大きく、また、それら研究成果は当時のヨーロッパにも影響を与え、後に数多くのプラントハンター達が長崎を訪れシーボルトの広めた園芸の功績を称えていることでもわかります。

長い歴史の中で積み上げてきた動植物を如何に未来に向け、守り発展させていくべきか。

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バレンタインデー・種子

バレンタインデーホワイトデーが近年下火になっているように感じるのは私だけでしょうか。

そもそも3世紀後半に殉教したキリスト教司祭の命日が、何故好きな人にチョコを渡して愛を告白する習慣になってしまったのか。

「商業戦略」に乗せられチョコレートの売り上げに貢献させられ40年以上続いたこの戦略も、近頃の若者には余り受けないようで、お陰で義理チョコしか貰ったことのない私としては惨めな思いをせずに済みます。

「種子繁殖」の続き、以前バーナリゼーション(春化Varnarlization)のお話をしましたが、休眠から覚醒するのは球根種子も同様です。

健康な種子、芽、球根が温度や水分などの環境条件が整っていても、四季のため覚醒しないのはアブシジン酸などの抑制物質で休眠しているからです。

秋植え球根の場合温周性のため地中海沿岸型の出身では夏は高温乾燥、冬は温暖多雨のため過酷な夏を乗り切るため夏は休眠して乗り越えて生存しています。

そのため秋から春にかけ生育する「冬緑型、とうりょくがた」なのです。

促成開花技術を使えば人工的に開花の演出ができるということもご存じでしょうか。

例えば。

乾燥させた球根を冷蔵庫に入れ(春化処理)数か月後に春を演出した栽培ができれば開花調整が可能です。など。

「休眠」から覚醒させることを「休眠打破」と言い、発芽抑制物質の減少はジベレリンなどの成長促進物質の増加により休眠から覚醒すると考えられています。

ここでの「種子繁殖」では種子の固定品種の採種や、一代雑種品種の採種についてはまたの機会にいたします。

種子の発芽の条件には4つの環境要素が重要で、水、温度、光、酸素ですが一般に植物は光なしで発芽しますが、光を必要とする種子の場合覆土を嫌います。

「光発性種子」「暗発性種子」と光の有無を確認し藩種や管理をすることが大切で、光の有無に関係せず発芽する「中光性種子」などもあります。

発芽条件に肥料はいらないことはご存知でしょうが、イネなどは水中で発芽するので酸素も必要ありません。

次回も種子を少し続けます。

ありがとうございました。

花粉の季節・種子

天気予報に花粉の情報が表示がされるようになり、またムズムズする花粉症の季節がやってきます。

春はあらゆる生き物にとって躍動的な季節であり待ちどおしいものですが、もはや花粉症の人には春は来てほしくない季節になりつつあるのかもしれません。

杉花粉は近年無花粉スギの開発が進んでいますが、これは無花粉の遺伝子を持つスギを発見できた事で開発が可能になりました。

地球温暖化対策への取り組みも重要で、人間が自然と共存するためには我慢しなくてはいけない事もあるのは仕方ないですか。

花粉とは子孫の繁殖のためにあるものですが繁殖には「種子繁殖」「栄養繁殖」「組織培養」などがあります。

種子繁殖は簡単に大量の種苗を生産できる繁殖方法ですが、個体ごとに自然界に適応にするために獲得した多様性などで、同じ品種なのにバラツキがあり必ずしも期待通りとは行きません。

メンデルの法則をご存知でしょうか。

血液型からの遺伝子型などは有名ですが、優性の法則、分離の法則などで示されているように或る確率とパターンにより世代交代していくとされています。

しかし育苗の専門家によってこれら問題は、増殖技術により品種の特性を維持し農業生産に利用する事が可能になりました。

次回に続きます。

ピョンチャンオリンピック開催・花成誘導

2月9日(金)ピョンチャンオリンピックが韓国で開催しました。

アジアでは1998年の長野オリンピック以来だそうです。

時差がないのは寝不足にならないから良いことです。

「光周性」について、前回まで春化とは日長や温度などの刺激で成熟へと誘導されたながら花芽形成に影響される形態に「温周性」「光周性」 があります。

日の出から日没まで1日の日長の季節の変化を植物が感じ取ることができる植物の制御機能です。

普通1年で最も日が短いのは冬至、最も長い日が夏至ですが、花芽形成が促進、或いは制御する範囲はそれぞれの植物の条件で導かれます。

質的短日植物、(通常時間以上の夜が継続すると着花)、

量的短日植物、(一定期間短日が続いたのち長日が与えられると着花)、

質的長日植物、(通常時間以上の夜が継続すると着花しない植物)、

量的長日植物、(一定期間長日が続いたのち短日が与えられると着花)、

中性植物、(短日、長日では花芽形成せず、ある範囲のみで着花)、

その他にキク科のように日長でも日短でも花芽形成するが中間の日長では花芽形成しない植物もあります。

これらを応用し光周反応の開花調整が人工的に行われています。

電照による明期延長、光中断などの方法で電照栽培が可能で50lx以上、可視光線領域は400nm~800nmで光合成に有効な波長は青色と赤色域が影響するとされています。

ここの最後に、日長などの情報を感知するのは葉から茎へと伝えられ花芽形成を誘導する物質はフロリゲンだということを覚えておいてください。

ありがとうございました。

立春すぎても春遠し・覚醒

植物の多くは休眠は温度や水分など環境が整っていても、それぞれの事情で生長や発芽を抑制します。

これは植物の休眠が生育に不適な環境を乗り越えるために発達させた能力で、生育が停止もしくは生育がきわめて緩慢な状態で過ごすことは生理的・形態的防御機構なのです。

植物が枯れているのか、休眠しているのかは見た目では中々判断できません。

植物の内的原因による休眠「自発的休眠・自然休眠」もあれば、環境条件の不適「強制休眠・他発休眠」もあり、また結実後の種子や球根は良好な環境条件であっても発芽せず休眠状態にあります。

花木が冬に芽を出し冬越えのため休眠期に芽をだすこともありますが、多年草にはロゼットを作って生長を止めて越冬するための休眠状態などは見た目にわかりやすい方です。

ロゼットとはロゼット洗顔何とか…ではありませんよ、バラの花びらのように放射状や螺旋状配列するものに由来した用語で、多年草で地面に葉を広げた状態で茎がほとんど無く生育が停止しているように越冬します。

例えばタンポポ、オオバコ、などですが、これら植物は背が高くないので生き残るため、人の最も身近な場所で雑草となり生存してきました。

生育による不良環境の中、耐性を高めるためロゼットを形成した植物は沢山あります。宿根カスミソウ、マーガレット、ミヤコワスレなど。

明確な温周性を持つ植物は四季の中でそれぞれに適した時期に変化を感じ取る仕組みを持っており、休眠覚醒、萌芽、花芽分化しますが「植物の低温による春化」や、光周性が役立たない種子などは「種子の低温処理による春化」などで開花を自在に促成する技術が進められています。

もちろん「光周性」も植物が四季を感じ取り花芽分化、落葉、冬芽形成、休眠、球根形成など様々な形態形成を制御する性質ですが、それについては次回にいたしましょう。

ありがとうございました。

 

株価暴落・植物のIOT

こんにちは、世間では良好な金融市場が昨日は一転、株式相場が世界的に暴落しました。

原因は何なのか、色々言われていますが専門家でも明確な答えが無いようです。

米国株式市場で一時1597ポイントの下落はほんの15分間の出来事で、生身の人間の仕業では考えられない事から、機械犯人説という面白い記事を見ました。

機械化による自動売買の電子市場の進展や、自動車、家電製品など殆ど全ての分野でロボット化・機械化が進むことでしょうが、園芸の分野ではどのようになるのでしょうか、皆さんはどうお考えでしょうか?

資本社会ではビジネス戦略なしには成り立たない訳で、近年の日本のガーデニング市場規模は2220億円位、毎年ほぼ横ばいか若干の伸び程度なので従来の方法では限界との見かたもあるようです。

※ちなみにイギリス4兆円、アメリカ5兆円です。

このようなことからガーデニング業界にも新たなビジネスモデルとしてIOT化戦略の波はどんどん押し寄せてきています。

植物に生体センサーを取り付けたり温湿度、照度、二酸化炭素濃度などを測定・情報の収集管理もできるようになりました。

植物の波形パターンで「喜んでいる」「悲しんでいる」を判別し、甘いものはもっと甘く、辛いものはもっと辛くするなどの技術も開発が進められているようです。

さて、前回「光合成」についての続きはまたの機会にいたしまして、この時期はやはり多くの植物が休眠から覚醒するバーナリゼーション「春化Vernalization」をテーマに次回はいたします。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

立春寒波・光合成

こんにちは、寒いですね。風やインフルエンザに気を付けましょうね。

風で熱がでますよね、あれは体がウイルスと戦っている状態らしいです。
解熱のタイミング判断は難しいのでなるべくお医者さん診てもらう方がいいですね。
体が体温を上げてウイルスを弱らせていたとは知りませんでした。
植物ではハーブが風に効くとよく言われていますが、利用部位が全草、根、花、葉、種子と、種類がそれぞれ効能によって違うのでよく覚えてお楽しみください。
手頃なものでエセンシャルオイルなどアロマテラピーはストレスや体の免疫機能低下にお勧めです。
それでは前回に続き光合成について、光合成は5つの過程に分けられるのですが葉緑体の色素分子に太陽光を集め水を分解し酸素が生成され、大気中の酸素の源になります。
光合成色素を持つ緑色植物だけができる凄い技とも言えますが植物は有機物を作る過程の廃棄物が酸素なのです。
動物は呼吸で肺に酸素を取入れ二酸化炭素を放出し、植物との循環システムを作りだしているわけですから自然は偉大であり不思議でもありますね。
光合成を受うける植物系統は3つに分類されており、二酸化炭素がどのように有機物に合成されるかで分けられています。
暗反応の仕組みをカルビン回路と言い、CO2が最初に生じる有機物の炭素数が3つあるからC3植物です
古来より存在していたとされるのはC3植物で、今でも多くの温帯植物がC3植物ですが、原始地球の大気はCO2が大量に存在した中、CO2補償点が高く、光飽和(最大日射)や生長適温(℃)も低いのが特徴です。
そしておよそ27億年前に藍藻の出現以来O2の増加によりCO2が減少していき、C4植物へと分科し更にCAM植物が分科していきました。
C4植物はハッチ・スラック回路があり、効率よくカルビン回路に引き渡す機能を備えています。
熱帯系植物やイネ科、雑草類などが多く含まれており、C3植物の進化系で寒さには弱いが乾燥、高温では成長が速いのが特徴です。
CAM植物にはサボテン科や多肉植物が含まれていて、高温、乾燥地帯で水分損失を防ぐため暗反応のもう一つの機能としてCAM回路があり、これは夜間に二酸化炭素を取り込み貯蔵してカルビン回路に引き渡す役割を備えいます。
CAM植物の炭素数は4つあるのでC4植物に含めることもあります。
これら光合成形態を自動車に例えると軽自動車、ガソリン車、ハイブリット車とイメージするのも面白いと思います。では今日はこれまで。ありがとうございました。